疲れ・疲労感が取れない、ぼーっとする
長時間仕事に集中した日や激しいスポーツをした日には、身体のだるさや疲れを感じることがあるかと思います。この症状は、身体が休息を求めている証拠です。そのため、多くの場合、1日ゆっくりと休めば解消されます。
ですが、しっかりと休んでいるはずなのに身体がだるい、なかなか疲れがとれない場合には、何らかの疾患を疑う必要があります。
疲れ・疲労感が取れないのは
ストレスが影響?
疲れや体力による不調の原因を「年齢を重ねたことによるもの」と諦めている方も多いのではないでしょうか?
疲れは、おおまかに「末梢性疲労」「中枢性疲労」「病的疲労」にわけることができます。 末梢性疲労は、いわゆる体の疲れで、筋肉の疲労と言えます。 中枢性疲労は、ストレスや緊張状態などが続くことによる精神的・神経的な疲労になります。
病的疲労は、病気が原因でおこる疲労です。うつ病、睡眠障害、肝機能障害、糖尿病、甲状腺機能障害、副腎機能障害、感染症、血圧の異常、貧血、喘息、低栄養、オーバートレーニング症候群など原因は多岐にわたります。
また、時間のカテゴリーで急性・亜急性・慢性などに分類することもできます。
疲れを放置していると、悪化や慢性化により疲れが取れにくくなり、強い疲れになると日常生活に悪影響を与えるようになります。そうすると、気分の落ち込みや生活への支障も避けられません。
さらに、新たな病気の引き金になることも考えられます。
そのため、疲れが長期間続く場合や強い倦怠感がある時には、医療機関を受診しましょう。
まずは病的疲労の検索が重要と考えられます。
疲れ・疲労感が取れない
原因と病気
常に身体のだるさや疲れやすさを感じるといった不調は、肉体的・精神的に自分のキャパシティを超えた状態を表しています。いわゆる限界を超えた状態のため、肉体や精神が休息を求めているサインであるとも言えるでしょう。疲れは、痛みと同じように人体が健康を保つために発信する危険信号です。
通常、身体の疲労は脳に伝達されて人体がそれを感じるようになります。ですが、仕事や運動に集中していると感じにくいケースもあります。そのような時は、自分でも気づかないうちに身体が疲れすぎた状態になっているため注意が必要です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、特に日中帯に身体のだるさを感じる疾患です。睡眠時無呼吸症候群は、断続的に睡眠時に呼吸が止まり、いびきや無呼吸をくり返す疾患のことです。医学的には10秒以上の呼吸停止を無呼吸と言い、一回の睡眠で30回以上の無呼吸を認めた場合に、睡眠時無呼吸症候群と診断します。
睡眠中に起こる症状のため、自分では気づきにくい特徴があります。ですが、睡眠時に必要な酸素を送り続けるCPAPなどの治療方法は確立しているため、適切な治療で改善が見込めます。なお、無呼吸の状態を放置しておくと、高血圧や心臓疾患、脳疾患につながるリスクが高まります。
糖尿病
糖尿病とは、血糖値を安定させるインスリンの働きが十分でないために、血液中の血糖濃度である血糖値が長期間高い状態が続く疾患のことです。血糖値の上昇により免疫が低下すると、他の病気にかかりやすくなり、そのため身体がだるくなったり疲れやすくなったりします。
健康診断で血糖値の異常を指摘された場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
自律神経失調症
自律神経失調症とは、強いストレスを長期間感じる状態が続いて、自律神経のバランスが乱れている状態のことを言います。
ストレスが原因となる疾患はほかにもあり、代表的なものには過敏性腸症候群や過換気症候群、メニエール病などがあります。この場合も身体がだるくなり、疲れが抜けきらない状態が継続します。そのため、病気の症状に応じて、医療機関で適切な治療を受けることが必要です。
風邪
風邪やインフルエンザの引き始めには、咳や鼻水、発熱といった症状のほかに身体がだるく感じることがあります。
甲状腺機能障害
甲状腺機能障害は、女性に多く見られる疾患の1つです。甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが異常に分泌されている状態のことです。新陳代謝が上がり、激やせや発汗、動悸およびだるさなどの症状を伴います。
また甲状腺機能低下症では、甲状腺ホルモンの分泌が減少して結果新陳代謝が落ちるため、皮膚のかさつきや体重増加、体のだるさなどの症状が現れます。
睡眠不足
睡眠は、身体や脳の休息に誰もが必要とするものです。1日寝不足となっただけでも、翌日には眠気や倦怠感、疲労感が現れることがあります。
貧血
貧血とは、血液中の赤血球に含まれる「ヘモグロビン」という色素濃度が低下した状態のことです。貧血になると、体内で酸素を運ぶ機能が低下してしまうため、身体を動かすためのエネルギーの産生能力も低下します。そうすると、倦怠感や疲れ、息切れといった症状が現れます。
栄養バランスの乱れ
人間の身体は、毎日の食事から栄養を吸収しています。そのため、身体を動かすための栄養が不足すると、すぐに疲れてしまうようになります。
たんぱく質不足
タンパク質は骨や筋肉、血液を構成するのに欠かせない栄養です。そのため、不足してしまうと、筋肉量が減少して筋力が低下してしまいます。血液量も少なくなるため、貧血を起こしやすくなり、すぐに疲れてしまう傾向があります。
ビタミン不足
ビタミンB群は、タンパク質や脂質、糖質からエネルギーを作り出す際に必要な栄養素のことです。なかでも、疲労の回復を促すビタミンB1、B2、B6が不足してしまうと、筋肉量や血液が足りなくなりすぐに疲れを感じるようになります。
糖質不足
糖質(炭水化物)を摂取すると、身体の中で分解されてブドウ糖に変化します。細胞のエネルギー源として欠かせない栄養素であり、絶えず消費されていきます。そのため、食べ過ぎると肥満の原因になりますが、不足すると足りないとエネルギーがなくなるため、疲れを感じやすくなります。
鉄分不足
血液中の鉄分によって、身体中の細胞に酸素が運ばれています。そのため、鉄分不足は貧血を引き起こし、疲労感や無力感、食欲不振といった様々な症状が現れます。
特に、女性は生理の経血から、毎月多くの鉄分が失われます。男性と比較して、貧血になりやすい方が多いのはこのためです。
疲れ・疲労感が取れない場合の検査方法
長期間疲れやすい状態が続く状態は、何か病気が隠れていることを疑いましょう。当院では、初めに丁寧な問診を行い、症状に応じた必要な検査を実施しております。
睡眠時無呼吸症候群の検査
睡眠時無呼吸症候群の診断には、自宅でも取り扱い可能な検査機器を使用します。多くの場合は、簡易検査から行います。寝ている間にできる検査のため、患者さんに負担がかかりにくい特徴があります。
手の指や鼻の下にセンサーを取り付け、いびきや呼吸の状態から睡眠時無呼吸症候群の可能性を探ります。自宅でもできる検査のため、仕事や日常生活に支障が出る心配はありません。
睡眠時無呼吸症候群と診断された場合には、睡眠時に酸素吸入を行うCPAP療法や生活習慣指導を行い、症状の改善に取り組みます。なお、睡眠時無呼吸症候群ではないと診断された場合は、多様な視点から検査を行い、必要であれば専門機関をご紹介いたします。
心電図
心電図とは、心臓が収縮と拡張を繰り返す際に発生する、微弱な電流を記録する検査のことです。脚や手首に大きなクリップ状の器具を取り付け、胸にも吸盤上の器具を貼り付けます。横になって安静にする必要がありますが、検査時の痛みはありません。
心電図では、心臓の異常を検出し、心臓に身体の疲れが関係しているかを調べます。
血液検査
貧血、肝機能、腎機能、糖尿病、甲状腺ホルモンなども測定します。また、電解質とよばれるナトリウムやカリウム、カルシウム値なども測定します。
疲れ・疲労感をとる方法
睡眠の質向上
疲れや疲労感を軽減するには、良質な睡眠が有効です。しっかりと休息をとることで、身体のだるさ回復に期待できます。
睡眠時間を確保するために、就寝と起床の時間を一定にする工夫を行いましょう。起床時に太陽の光を浴びると、体内時計の調整を行えるため、夜になると自然と眠気が来るようになります。
だるさや疲労感は、「休んで」という身体からのサインです。早めに就寝することはもちろん、温度や湿度を整えた寝室の環境を整えることにも力を入れてみましょう。また、就寝前にぬるめの湯船にゆっくり浸かることも、睡眠の質の改善に効果的です。
規則正しい生活リズム
規則正しい生活は、自律神経のバランスを整えることにつながります。また、身体の機能の正常化が図れるため、睡眠の質も改善され、だるさや疲れをしっかりと解消できるようになるでしょう。
生活リズムが崩れると、もともとの体内時計に狂いが生まれます。すると、睡眠不足により身体のだるさを感じるようになるのです。特に、就寝時間が一定していない場合は体内時計が狂いやすいです。毎日しっかりと眠るようにして、生活リズムを一定に保つように心がけましょう。
適度な運動
身体にだるさが残るからといって動かないままでいると、全身の血液の流れが滞り筋力低下を引き起こしかねません。筋力が低下してしまうと、それまでよりもさらにだるさを感じるようになるでしょう。
だるさを感じないようにするためには、適度に運動をすることも大切です。激しい運動ではなく、軽いウォーキングや体操といった有酸素運動はだるさの解消におすすめです。
適度な運動は、睡眠の質を改善したり、ストレスを解消したりといったことにも役立ちます。
栄養のある食事
栄養バランスの偏った食事は、身体が必要とするエネルギーを十分に補うことができません。
体内のミネラルバランスが崩れると、だるさを感じやすくなります。疲れがたまりやすい方は、疲労の回復に効果的なビタミンBを意識的に摂取しましょう。
当院では管理栄養士による栄養相談も行なっておりますので、是非ご利用ください。