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ピロリ菌検査

ピロリ菌とは?

ピロリ菌とは?

ピロリ菌とは、胃粘膜に感染する細菌で、様々な病気の発症に深く関わっていることが明らかになっています。慢性萎縮性胃炎の方のピロリ菌感染率はほぼ100%で、胃潰瘍では70~90%、十二指腸潰瘍では90~95%がピロリ菌に感染しているとされています。また、胃がんや胃ポリープ、胃悪性リンパ腫、血小板減少性紫斑病などとの関連も指摘されています。ただし、ピロリ菌に感染したからといって必ずしも病気を発症するわけではなく、無症状で経過することもあります。

ピロリ菌がいると
どんな症状がでる?
セルフチェック

ピロリ菌がいるとどんな症状がでる?セルフチェック
  • 胃の不快感が半年以上続いている
  • 胃薬を飲んでも一時的にしか改善しない
  • 健康診断のバリウム検査で異常を指摘された
  • 井戸水を生活用水として使用していたことがある
  • 家族にピロリ菌に感染した方がいる
  • 胃炎や胃・十二指腸潰瘍の既往歴がある

など

幼少期にピロリ菌に感染し、大人になっても感染が続いているケースもあります。上記の症状がある方や、感染の可能性がある方は、ピロリ菌検査を受けることをおすすめします。

ピロリ菌の原因(感染経路)

一般的にピロリ菌は、幼少期までに経口感染すると言われています。感染経路は主に、ピロリ菌に感染している大人が使った箸を共有することで、家族内での感染が多いとされています。また、先進国と発展途上国、上下水道完備の有無、都市部と山間部、人種差、所得差など、生活環境の違いによって、感染率に有意差があると報告されています。

ピロリ菌による病気のリスク

ピロリ菌に感染しても、多くの場合は自覚症状がほとんどありません。しかし、感染が長期間続くと、様々な病気の発症リスクが高まります。ピロリ菌の感染が原因で発症する病気には、次のようなものがあります。

慢性胃炎

ピロリ菌は胃の粘膜に感染し、アンモニアを産生します。アンモニアは胃粘膜に悪影響を与え、感染が長期間にわたると慢性胃炎を引き起こします。

消化性腫瘍
(胃潰瘍・十二指腸潰瘍)

ピロリ菌が原因で慢性胃炎になると、胃の防御機能が低下し、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が発生しやすくなります。

萎縮性胃炎

ピロリ菌による慢性胃炎がさらに進行すると、胃液や胃酸を分泌する組織が減少し、胃の粘膜が萎縮して薄くなります。この状態を萎縮性胃炎と言います。萎縮性胃炎になると、胃の機能は大きく低下し、胃液や胃酸が十分に分泌されなくなるため、食欲不振や胃もたれ、胸やけ、げっぷなどの症状が現れることがあります。

胃がん

長期間のピロリ菌感染によって胃粘膜の萎縮が進行すると、胃がんの発症リスクが高くなります。ピロリ菌と胃がんの関連は否定できず、胃がん患者の約99%以上にピロリ菌の感染歴があるという報告もあります。

その他

上記以外にも、ピロリ菌は胃マルトリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、機能性ディスペプシア、胃ポリープなどの発症リスクを高めます。無症状のまま進行することもあるため、定期的な検査が重要です。

ピロリ菌検査の方法

ピロリ菌検査の方法

ピロリ菌検査の方法は、胃カメラを使用する検査と使用しない検査に分けられます。それぞれの検査の特徴は、以下の通りです。

胃カメラを使用する検査

胃カメラで胃粘膜を一部採取し、感染の有無を判定します。

迅速ウレアーゼ試験

採取した組織を特殊な試薬に入れ、色の変化を見て感染の有無を判定する方法です。短時間で結果が出るのが特徴です。

培養法

採取した組織を培養して、ピロリ菌の有無を確認する方法です。正確な検査方法ですが、結果が出るまでに約1週間かかるため、通常はあまり行われません。

鏡検法

採取した組織をホルマリンで固定し、顕微鏡でピロリ菌の有無を確認する方法です。

胃カメラを使用しない検査

ピロリ菌に感染しているかどうかは、尿や便を調べることで確認することもできます。これらの検査方法は簡便ですが、感度は培養法などに比べるとやや劣ります。

尿素呼気試験

診断薬を服用後に風船に息を吐き、呼気中の成分を調べることで胃の中に潜むピロリ菌の有無を確認し、感染の有無を判定します。

糞便中抗原測定

ピロリ菌は胃粘膜に感染しますが、菌の一部は落下して便に混ざります。そのため、便中にピロリ菌が存在するかどうかを確認して、感染の有無を判定します。

抗体測定(血液・尿)

ピロリ菌に感染すると、抵抗力として菌に対する抗体をつくります。血液中や尿中などに存在するこの抗体の有無を調べる方法です。

ピロリ菌の治療方法
(除去方法)

薬による治療

薬による治療

ピロリ菌の治療では、胃酸の分泌を抑える薬と2種類の抗菌薬の合計3剤を、1日に2回、7日間服用します。治療が終了してから約8週間後に、ピロリ菌が除菌できたかどうかを検査で確認します。
薬を正しく服用した場合、1回目の治療の成功率はおおよそ80%前後とされています。1回目の治療でピロリ菌が除菌できなかった場合、服用する抗菌薬のうち1種類を別の抗菌薬に変更し、再度治療を行います。2回目の治療を適切に行えば、約98%の確率でピロリ菌の除菌が成功するとされています。
この2回目の治療(二次除菌)まで保険適応になります。(3回目の治療からは保険適応外になります。)

ピロリ菌治療(除去)の際に気を付けること

ピロリ菌の治療を受ける前に、以下の項目に該当する方は、事前に医師に申し出てください。

  • 過去に薬でアレルギー症状を起こしたことがある方
  • ペニシリン等の抗菌薬を服用した際に、ショック等の重篤なアレルギー症状を起こしたことがある方
  • 抗菌薬や風邪薬で副作用を経験したことがある方

など

薬の服用を忘れず、「喫煙」や「飲酒」も控えて

薬の服用を忘れず、「喫煙」や「飲酒」も控えて
ピロリ菌を確実に除菌するためには、指示された薬を忘れずに服用することが非常に重要です。自己判断で服用を中止すると、治療薬に耐性を持つピロリ菌に変化する可能性があるため、必ず医師の指示に従って服用しましょう。
また「喫煙」や「飲酒」により除菌治療の成功率が低下するという報告があり、薬の服用期間はお控えください。
特に二次除菌においてアルコールが体内での薬の吸収や分解に影響を与え、副作用を引き起こすリスクが高まるという報告があります。

副作用や気になる症状がある場合はご相談下さい

ピロリ菌の治療薬を服用すると、下痢や味覚異常、発疹などの副作用が現れることがあります。副作用や気になる症状がある場合は、当院へすぐにご相談ください。

除菌治療後のフォローアップ

除菌に成功したからといって、胃がんの発生リスクは0にはなりません。約1/3ほどと報告されています。
特に粘膜に萎縮変化がみられる場合は、除菌後も年に1回程度の定期的な内視鏡検査を受け、胃の状態を確認しましょう。