便秘症とはどんな状態?
便秘症とは、便が十分に出ない、または排便に苦痛を感じる状態です。排便回数の減少、排便困難、排便時の出血、残便感、腹痛、腹部膨満感、食欲不振などの症状が現れます。毎日便通があっても、これらの症状があれば「便秘症」に該当します。一方、数日に1回の便通でも該当する症状がない場合は、便秘とは呼びません。特に女性に多く見られる傾向にありますが、年齢を重ねるにつれて性別に関係なく生じやすくなるのが特徴です。
便秘の原因は食生活やストレスなど様々です。場合によっては重大な病気が隠れていることもあります。自己判断せず、神戸市灘区にある本庄医院へご相談いただき、必要に応じて適切な治療を受けられることをおすすめします。
【種類別】便秘症の原因
便秘症は、原因によって以下のようにいくつかの種類に分類されています。
器質性便秘
腸の器質的な状態が原因で、便が腸管を通過する際に問題が発生して起こる便秘です。この種類の便秘を治すためには、まず原因となっている病気の治療が基本となります。大腸がん、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患、手術後の腸管癒着などによって引き起こされる可能性があります。また、女性では膣に直腸の一部が入り込んでしまう「直腸瘤」と呼ばれる状態も原因となり得ます。
機能性便秘
便秘では最も多く、加齢や生活習慣、ストレスといった原因によって大腸や肛門などが上手く働かなくなって起こります。機能性便秘は、さらに以下のように分けられます。
弛緩性便秘
大腸内に便が長く留まった結果、水分が吸収され過ぎて便が硬くなり便秘が起こります。腸管の緊張がゆるみ、十分な蠕動運動が行われないのが原因です。運動不足、腹筋の低下、極端なダイエット、食物繊維や水分不足、生活習慣の乱れなどによって生じます。
機能性便秘の中でも患者様の数は多く、女性や高齢者に多い傾向です。お腹の張り、残便感、食欲低下、イライラ、肌荒れ、肩こりといった症状も起こることがあります。
けいれん性便秘
副交感神経の過剰な興奮によって腸管が過度に緊張し、腸内の便がスムーズに運ばれないために起こる便秘です。ウサギのフンのようなコロコロした便が出るのが特徴で、便秘と下痢を繰り返すこともよくあります。過敏性腸症候群(IBS)や、環境の変化、精神的ストレスなどによって引き起こされると言われており、食後に下腹部の痛みや残便感といった症状を感じることがあります。
直腸性便秘
直腸に便が溜まって排便できず起こる便秘です。通常は大腸から直腸に便が運ばれると、反射によって便意を感じて排便が起こります。しかし、排便に必要な反射が起こらず、便意を感じないために上手く排便できなくなってしまうのがこの種類の便秘です。寝たきりの方や高齢者、便意を感じても排便を我慢しがちな方に多く見られます。最近ではウォシュレットの水を肛門の奥まで使った結果、神経が鈍ってしまい便秘になる人も増えています。
薬剤性便秘
薬の副作用によって引き起こされる便秘です。様々な種類の薬で副作用として便秘が生じる可能性があります。大腸の蠕動運動が抑制されるためで、喘息、前立腺肥大、パーキンソン病などで使われる抗コリン薬や抗うつ薬、咳止めなどで生じる可能性があります。
症候性便秘
身体全体に関わる神経系やホルモン分泌に関わる異常が原因となり、腸管の蠕動運動が弱くなって生じる便秘です。糖尿病、膠原病、自律神経異常、甲状腺疾患、脳血管障害、パーキンソン病などが挙げられます。
危険な便秘の症状チェック
まず、器質性便秘ではないかどうかチェックしましょう。初期症状が乏しい大腸がんでも唯一、便秘症状が見られることがあるためです。以下の症状に当てはまる場合は詳しい検査が必要になります。
- 便が細く、少量になった
- 急に便秘になった
- 便に血が混じっている
- 急に体重が減った
- お腹にしこりを感じる
など
便秘の診断と治療に用いられる「慢性便秘症診療ガイドライン」内でも、器質性便秘の除外が大切だとされています。器質性便秘を自己判断することは難しく、除外のためには医療機関で検査を受ける必要があります。
便秘症の検査
最初に問診でしっかりとお話をうかがいます。その後、腹部の触診と聴診、腹部X線検査で腸の状態を調べ、必要と判断した場合には血液検査や大腸カメラでの検査も実施します。
当院では痛みを抑えた大腸カメラ検査を行っており、少ない苦痛で検査を受けていただける体制を整えています。
大腸カメラによる内視鏡検査では、狭窄や閉塞の有無やポリープや早期の大腸がんなどの病変の有無、腸管の長さなどを調べます。直接粘膜を確認できるため、病変があった場合は大きさや形状などの状態を詳しく確認できるのが特徴です。それぞれの病気に特徴的な病変を発見して診断に役立てたり、検査中に組織を採取して病理検査による確定診断を行ったりすることも可能です。
便秘症の治し方
薬物療法
薬物療法は、消化管運動調整剤、刺激性下剤、機械的下剤、漢方薬の4種類の下剤を調整しながら行います。患者様の便秘の状態やライフスタイルなどによって、お一人おひとりに合わせて細かく調整しながら処方いたします。
効果には個人差があるため、診察時に薬の効き目を確認しながら量や種類を調整して最適な処方を見つけることが大切です。市販薬を長期間服用している方や、ひどい便秘にお悩みの方も、当院へお気軽にご相談ください。
生活習慣の改善
生活習慣の改善は、便秘を治すためには非常に重要です。食習慣や食事の内容、運動、排便習慣など日常生活で実践しやすい方法をご提案します。生活習慣の改善は、便秘を治すだけでなく再発防止のためにも非常に効果的です。問診時に患者様のライフスタイルや食習慣などをうかがい、無理なく実践できる具体的な方法をアドバイスいたします。